かめかめこがめ

長女Haruko、不登校になりました。

不登校中の娘、久しぶりに学校に行く(ただし放課後)

娘のHaruko(小学5年)は、4年生の時から完全に不登校になりました。

 

そのHarukoが、5年生になった4月の始めに久しぶりに学校に行きました。

ただし、ほかの子には会いたくないので、登校は放課後に。

 

目的は、新しい担任の先生に会うことでした。

 

不登校になって初めて迎えた新学期。

Harukoの弟Kaiが小学校に入学したこともあり、4月に入るとちょっとソワソワした様子でした。

そして、新学期開始から2週間ほど経つと「新しい先生に会ってみたい」と言うようになりました。

 

でも、みんながいない時がいい。

だから、学校が終わってから行きたい。

ママにも一緒にきて欲しい。

 

そこで担任の先生と調整し、ついに久しぶりの登校(放課後)となったのです。

 

職員室の前で、少し緊張した面持ちのHarukoに

「はじめまして」

と、にこやかに声をかけてくださったのは、細身で長身の若い女性の先生でした。

 

先生は、新しい教室に連れて行ってくださり、Harukoの座席や、今クラスで取り組んでいることなどを教えてくださいました。

 

20分ほど、掲示物を眺めながら、クラスメイトに誰がいるかを確認したり、先生と雑談したりして過ごしました。

 

その後、相談室も覗いてみました。

『相談室』は、以前なんとか登校していた頃に、教室に入れないHarukoの居場所だったところです。

 

相談室は、以前とはソファや机の配置が変わっていました。

 

相談室は部屋の半分をカーテンで仕切れるようになっており、以前は奥半分のスペースに応接セットがあり、そこがHarukoの居場所でした。

 

ところが、その応接セットのセンターテーブルと1人掛けソファ2脚が取り除かれ、2人掛けソファの前には、教室にあるのと同じ学習机と椅子が1組。

なんとも違和感のある配置です。

 

教室に入らなくても、ここで勉強するようにってことなのかなぁ。

なんだか落ち着かない雰囲気。

私は口には出しませんでしたが、すでにここはHarukoの居場所ではないと感じました。

 

しかも、ここ、スクールカウンセラーの先生との面談場所だったけど、今はどうしているんだろう?先生がソファで、相談者は学習机挟んで椅子に座るの?話しづらそう…。

様々な疑問が首をもたげますが、Harukoの前で先生に聞くのもはばかられ、何も言いませんでした。

 

一方のHarukoは、部屋を一瞥しただけで、何も言わずに部屋から出てしまいました。その表情からは、どう思ったかは読み取れません。

ただ、すぐに部屋を出たのは、そこに長く居たく無かったからのように思われました。

(実は、相談室はHarukoの居場所だったものの、Harukoの不登校のきっかけになった場所でもあります。それについては、またいつか書こうと思います)

 

相談室を出て職員室まで戻ると、担任の先生が、5年生の他のクラスの先生方を呼んできて、紹介してくださいました。どの先生も、Harukoには初めて会う方たちですが、皆さん楽しげにHarukoに話しかけてくださいます。

Harukoも、ぬいぐるみを抱きしめながら、自分から言葉を発することはありませんが楽しそうに笑っています。

 

そのうち、先生のお一人が、私に「Harukoさんは、お母さんと一緒に来て、相談室に行くんですよね?」と尋ねられました。

 

え?と何だか違和感を感じながらも「いえ、そこはその時々で異なりますから…」と返している最中、一人の男性が通り過ぎようとしました。

 

とっさに担任の先生が呼び止めます。

「教頭先生!うちのクラスのHarukoさんです!」

4月に着任された新しい教頭先生は、立ち止まり、

「はじめまして!」と快活にご挨拶されてから「で?いつ来んの?明日から?あ、ごめんちょっと急いでるんだ!ごめんね!また!」と慌ただしく立ち去られました。

 

Harukoさん、びっくりしたよね。変わった先生だよねー。と担任の先生がフォローを入れて、また5年生の先生方との談笑に戻りましたが、私はさっき感じた違和感の正体が分かったように思いました。

 

先生方は、今日Harukoが放課後学校に来ることが出来たから、また登校するようになると思ってる。

それってHarukoの不安や苦しみを、それだけのものだと思ってる、つまり理解されていないということなんじゃないの?

 

Harukoはずっと不安や苦しみと戦いながら学校に通っていました。

 

なんで自分はみんなみたいに普通に登校出来ないんだろう。

なぜみんなは普通に教室に入れるのに自分には出来ないだろう。

みんなだって嫌なことがあっても頑張ってるから、自分も頑張りたい。でも、どうしてこんなに難しいんだろう。

みんなみたいに普通になりたい。

 

ずっと、そう言って泣いていました。

でも、それは先生方にはなかなか理解してもらえませんでした。単なる甘えと受け取られてきたのです。

 

結局、今までと同じなんだなぁ。

今学校に来れるんだから、ずっと休んでるけど本当は通えるんでしょ?頑張れば何とかなるんでしょ?

という先生方の考え。それに対する違和感だったと自認しました。

 

帰り道、「面白い先生たちだったね。また学校行ってみようかな。……でも、ちょっと難しいかもしれない…………やっぱり、だいぶ難しいかもしれない…」と呟くHaruko。

無理せず行けそうだなって思ったら、行ってみようか。私からはそれだけ伝えました。

 

登校を期待されている先生方には申し訳ないけれど、まだ無理だろうな。

せっかく自分から担任の先生に会いたいって言い出したんだから、焦らず見守って欲しいなと思いながら学校をあとにしました。